「自分と暮らしを大切にする」特別な1着をお仕立て“Tailor sniff & scurry”小松原 智喬・明日香さん

芸術や緑にあふれる浦和の街に合う洋服をつくれたらと活動するご夫婦の大切にしたい想いとは

話を聞いたひと
大熊 あゆ美

━ 何を専門に活動されていますか?
自宅でハンドメイドによるビスポークスーツのお仕立てをしています。ビスポークという言葉は、「Be spoken」からきていまして、どのようなシーンでお召しになるか、どういった自分を表現したいかということをお客様と対話しながら、1着のスーツを作り上げていく、そういう意味があるんですね。
私たちもデザインやフィッティングの相談をするところから始めて、採寸、型紙の作成、縫製まですべて夫婦でお仕立てしています。用途としては、やはりビジネススーツが多いですが、最近ですと、音楽家のステージ衣装など表現活動をされている方の衣装もお仕立てさせていただいています。また、競輪選手のスーツもお仕立てさせていただきました。こちらは、競輪選手ご本人からのオーダーではなく、競輪の団体さまからのオーダーなのですが、「競輪優秀選手表彰式」で最優秀選手へ贈呈されるブレザーのお仕立てをお任せいただいたんです。恵比寿に天皇陛下を始め、常陸宮家など各皇族方の洋服を作られているテーラーさんがいらっしゃるのですが、そのお店とつながりがありまして、このお仕事を引き受けてくれないかと打診を受けたんです。

もう少しお仕事の流れを詳細にお伝えしますと、まずはお客様とお会いして、作りたいスーツはビジネス用か、カジュアル用か、ステージ用か等、用途をお聞きしてから、どういうデザインにするかお客様と一緒にご相談しながら決めていきます。その日は、採寸し生地を決められれば、決めていくというところで1日目は終わります。お客様はやはり男性が多くて、デザインは決まっている方もいらっしゃいますが、お任せしますという方も結構いらっしゃいます。
その後は、型紙をひいて一度仮縫いという段階をはさみます。簡単にしつけ糸で服の形を作るんです。それを一度お客様に着ていただいて、フィット感やシルエットを確認いただき、直すところがあれば修正して、お客様が納得のいくまで仮縫いをしていきます。仮縫いするまでは、大体1週間くらい。仮縫いから本縫いにいくまでは、個人差ありますが、結構な時間を要しますね。スーツを仕立てるのに、1着だいたい100時間といわれていて、1日10時間作業したとすると10日くらいかかる計算です。なので、同時進行だと2名分が限界ですかね。夫婦間での役割分担として、基本的に私(智喬さん)が上着を担当し、妻がズボンを担当します。ベストはお互いの状況を見て、できそうな方がやるという感じです。
生地やボタンなどは商社さんや織物会社さんから発注して仕入れるケースがあります。ほとんどは商社さんからが多いですね。シャツやネクタイも作るので、そういった生地も基本は商社さんから仕入れています。

ご相談やフィッティングは、出張形式なのでお客様のご自宅に伺うことがほとんどです。東京、千葉に伺うことが多いですが、埼玉、神奈川などの首都圏エリアに伺います。ご相談はオンラインでも可能なので、気軽にご相談をいただくことも可能です。

また、お仕立てとは別に、Wardrobe Management Serviceというサービスも行っています。お客様と会話していく中で、スーツを選ぶのが億劫でストレスに感じている方が多いんだなと気付いたんです。スーツは主にビジネスのシーンで着ることが多いと思うので、装いから得られる信頼ってあるじゃないですか。スーツを選ぶのは億劫だけど、ちゃんとした方に見られたいという方はいらっしゃると思うんですよね。そういったところをお手伝いできたらいいかなと思って、HPに打ち出してみたんです。元々お持ちのスーツをサイズ感とかお直ししたりして一つの物を大切にすることもとても大切だと思うので、最大限お手持ちの服を生かしてほしいという想いから始めています。

お仕立てする上で「自分と暮らしを大切にする」をコンセプトに活動しているのですが、日々の暮らしに追われて忙しくなってくると、なんとなく「これでいいや」となってしまうことってありますよね。私たち自身もそういうことばかりなんですが・・でもやっぱり「これがいい」という生活をしたいなと思ったんです。洋服もこれでいいやとなってしまったら、低価格帯のスーツもいくらでもありますが、やっぱり自分を大切にすることって生きていく上で大切だなと思うんです。なので、この想いを活動する上で大切にし続けたいですし、こんな方の洋服をお仕立てするお手伝いができたらすごく幸せだなと思います。

ちなみに、「Tailor sniff & scurry」という店名の由来なのですが、「Tailor」は仕立屋で「sniff & scurry」は『チーズはどこへ消えた?』という本からきています。物語では2人の小人と2匹のねずみが出てくるんですね。ねずみの名前が「sniff」と「scurry」といいまして、ざっくり本の内容をお伝えすると、小人は変化を嫌うキャラクターに対して、ねずみたちは変化を恐れないキャラクターで、前進しながら新たな人生を見つけていくというお話なんですよね。
私たちも元々は会社勤めだったけど、変化を恐れずどんどん前進していけるような活動をしていきたいという想いを込めて、この名前にしました。



━ 活動をはじめたきっかけや経緯はなんですか?
大学は、洋服関係とは全然関係のないところに行ってまして、一応リクルートスーツを買って就活を始めてみたのですが、その空気感がどうしても合わなくて就活を諦めたんです。どうしよう・・と悩んでいたときに、ファッションが当時一番好きだったので、親にお願いして大学4年生のときに1年間バンタンデザイン研究所という専門学校にも行かせてもらったんです。スタイリストコースに行ったのですが、そこでソーイングの授業があってとても楽しかったんですよね。そこから縫製業界っていいなと漠然に思うようになったんです。
その後、大学を卒業してお直し屋さんでアルバイトをしました。そこで正社員のお話をいただいたのですが、ずっとお直し屋さんにいるのかなと考え始めまして・・職人として技術を身につけていきたいと思うようになって正社員にはならずに職人になる道を志しました。
埼玉県和光市にあるテーラーミヤサカというお店に手紙で修行の申込みをして、会ってもらったらその日に弟子入りを受け入れていただいたので、お直し屋さんは退職し修行生活に入りました。熟練の師匠で一から縫製の技術をたたき込んでもらいました。そこで5年修行をし、その後は銀座のお店に移りました。銀座のお店で妻と出会い結婚しまして、そこでも5年間キャリアを積みましたね。ただ、銀座のお店のときは、アトリエ勤務で縫い上げるという行程だけの仕事だったので、お客様と一切会わずひたすらスーツを作るという技術面との向き合う日々でした。いつからか自分自身がお客様とお会いして、その方のために技術と時間を使って特別な1着をお仕立てしたいという想いが強くなり、2024年に独立しようと決めました。


━ 今後の夢や野望、ビジョンはありますか?
浦和に住み始めて8年になるのですが、ほとんど浦和に知り合いがいないんです。姉家族くらいで・・。なので、浦和に知り合いが増えたら嬉しいですし、私たちのような職人が浦和にいるということを地域の方に知ってもらえたらすごく嬉しいなと思っています。今まではご紹介いただいたご縁のみでお仕立てしてきたんです。でも、やっぱり浦和の地で色んな方と接して、人と人との営みの中で活動できたらいいなと最近すごく思うんです。

また、ビジネススーツだけではなく、表現活動をされた方の衣装面でもっとサポートできたらとても嬉しいなと思っています。

━ どんな人に利用してもらいたいですか?
特にそういう方というのを決めているわけではなく、今までお仕立てさせていただいた方のお困りごとはそれぞれ異なるので、お客様お一人お一人が抱えられているストレスをクリアした特別な1着をお仕立てできればと考えています。

━ 浦和への想いを教えてください
浦和って音楽サロンや美術館、画廊など、芸術の文化が根付いている街だなと思うんです。
調神社や別所沼公園など、緑もあるし心落ち着くスポットもあって、街の空気感としてゆったりとした時間が流れているような感覚があって・・そういう街の雰囲気に合うような洋服が作れたらいいねと妻とよく話しています。

オーダースーツは、敷居が高い印象を持っている方も非常に多いと思うんです。
そういった方の不安を解消するために、オンライン相談も受け付けていますし、お問い合わせいただいたら、必ず注文しなければいけないというわけではないので、気軽にお問い合わせいただけたらと思います。

Tailor sniff & scurry

小松原 智喬・明日香
ホームページ
Instagram
note
online shop

掲載内容に関するお問い合わせはこちらから!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする