お客様の長い人生に関われる仕事にやりがいを感じて“エンドーデンキ”遠藤 弘康さん

お客様に思い出してもらえるつながりづくりと仕事のやりがいとは

さいたま市 浦和区 /「JR浦和駅」 徒歩12分

話を聞いたひと
大熊 あゆ美

━ 何を専門にお仕事をされていますか?

パナソニック系列の地域電気専門店として、家電販売を中心にエアコンや照明などの取付工事や電気製品の修理、コンセントやスイッチの交換など、お店に来店されるお客様を待っているより、こちらからお客様宅に出向いての仕事がほとんどです。最近はトイレやお風呂などのリフォームの工事を任せられることも多くなりました。やっぱり皆さんリフォームとなると、さてどこに相談していいか分からないという声をよくいただくんですよね。郵便ポストに入っているチラシの業者さんに依頼するのは心配だから「誰かいい業者さん知らない?エンドーデンキさんでやってくれない?」という話をいただきます。リフォーム工事は10年前くらいからお客様に対して告知していて承っていました。ただ当店のPR不足で、納品や修理なので伺った際にキッチンや浴室がきれいになってるのを発見すると、がっかりしてしまうこともありました。これではダメだとここ数年は配布物などで「リフォームをやってます!」としつこいくらい(笑)告知しているおかげで水回りの工事だけではなく、網戸の張り替えや内装工事、外壁塗装なども頼まれることが多くなりました。自店でできない工事は信頼できる協力会社を紹介して、お客様の要望に応えるようにしています。

また、最近は新規のお客様でもチラシやホームページ、X(旧Twitter)などのSNSの投稿を見て、電気以外のことでもお問い合わせをいただくことが増えてきました。LINEの公式アカウントを開設して問い合わせが出来るようにしていますが、お困りごとの写真や動画を送ってもらえるので電話だけでは伝えることが難しい内容をこちらも早く理解できるので、お互いにメリットがあると思います。LINEのやり取りだけでエアコンや洗濯、冷蔵庫を購入いただくこともあります。今の時代に合っているようですね。

商圏としては、旧浦和圏内ですね。区でいうと、浦和区、桜区、中央区、緑区、南区程度に留めておきたいと思っています(ホームページの対応エリアのURL https://www.endohdenki.co.jp/service/area/)。何かあった時にすぐに駆け付けて対応できるようにしたいためです。ただ既に取引のあるお客様のご家族が遠方に住まれていて、近所に電気屋がないので来てくれないか?と頼まれることもありますのでその辺りは臨機応変に対応しています。

取引のあるお客様も高齢で購買意欲がなくなり、また世代交代で残念ながらお付き合いが切れてしまうこともあります。全国の電気屋仲間との話題の中でも、そのためにお客様の数が減少傾向という話もよく聞きますが、でも浦和は人口も年々増加傾向で、有難いことに絶えずご依頼をいただくので、商売をするには恵まれている地域だと思っています。

以前は全ての電気製品を当店で購入してもらいたい!と思っていましたが、今の世の中はネットでもポチっとすれば電気製品が購入できます。そのため、ポットや炊飯器などの小物系の売上は減ってきています。そんな中、多少高くても安心できる当店で購入したいと事前に量販店で欲しい商品の実物を確認してからご注文をしてくれるお客様もいらっしゃいます。急に壊れたら困るもの、例えばテレビや冷蔵庫、洗濯機など、また工事が絡むもの、例えば、エアコン、照明、洗浄便座などは当店に頼みたいという方は少なくないですね。お客様もその辺りはうまく使い分けていると思います。「お客様は平等ではないし、神様でもない」と最近つくづく思います。当店を本当に頼りにしてくれるお客様には出来る限りの対応を心掛けています。そこに差が出来るのは当然かなと思います。

私は、困ったことがあったときに声をかけてもらえる工夫を常に考えています。
電気製品は購入すると長い方だと10年以上、故障が起こるまで使い続ける方も多いです。そうするとその間当店との接点がなくなり、自分たちの存在を忘れられてしまう怖さがあります。そのために定期的に発行しているニュースレター「さんさん通心」やチラシ、SNS、ノベルティなどで仕事に関係のないことも伝え続けることで、思い出してもらえるような仕組みづくりを心掛けています。ネットで簡単に買い物ができてしまう現在だからこそ、「誰から買うか」が大事なんじゃないかなと思うんです。だから、「さんさん通心」でスタッフの名前をあえて出して人となりを知ってもらい、いざ困ったときに「そうだ!エンドーさんに相談してみよう!!」と思い出してもらえるよう、お客様とエンドーデンキをつなぐツールにしています。内容は、私が考えていて年4回発行しています。本当はもっと回数を増やしたいと思っていますが、通常業務とのバランスがなかなか大変です。ニュースレターにはハッとさせる名言を載せたカレンダーも同封して、既存のお客様に配っています。
ここ2年、夏前に配布するニュースレターに「ひまわりの種」を同封しました。お客様から「ひまわりが咲きました!」と報告をしてくれて、とても嬉しかったですね。訪問したときの話題にもなります。LINEで咲いたひまわりの写真を送ってくれるお客様もいらっしゃいました。商売を抜きにしたお客様とのそうした繋がり、コミュニケーションがこれからの商売にはとても大切ではないかと思います。

「エンドーデンキの取扱説明書」という冊子も作っています。当店の商売に対する想いやスタッフ紹介、仕事内容など、これを読めば当店のことが分かる内容になっています。表紙のデザインも映画のパンフレットみたいでとても気に入っています。

さらに「笑顔流筆文字」という文字を書いて、ご依頼いただいたお礼やお子さんが生まれたときのお祝いなどで、お客様にお渡しをしています。「笑顔流筆文字」は、7~8年前にパナソニックの講習会で先生を招いて教えてもらいました。最初は難しくて続けられなかったのですが、再度教室に参加して、再開するきっかけになりました。

その他、うちわも作りました。「エンドーデンキにできること」やSNSのQRコードを載せたものも作り、お客様に配っています。こういう販促ツールを作るのが、結構面白いんですよね。SNSの影響で自分と同じくらいの年代の方や若い方のお客様も増えてきていますし、SNSを見てお問い合わせいただく方は自分の投稿を日頃から見てくれているので、初対面でも結構フレンドリーな方が多くて有難いです。

━ このお仕事をやろうと決めたきっかけや経緯はなんですか?

今私は3代目の社長として、2年目になりますが子どもの頃から電気屋になりたいとは全く思っていませんでした。日曜日に家族で出かける友達が羨ましく思っていましたし、プロ野球選手になるのが夢だったので(笑)。高校は普通科で、大学も商学部商業学科卒。両親からも継いで欲しいという話はなかったんです。むしろ大変だぞ!と言われていました。
でもあるとき、大学のゼミの先輩が「電気製品はお客様の自宅に納めたら、長い間そのお宅で使い続けるので、そういう仕事っていいよね」という話をしてくれたのがきっかけになり、やはり長男だし、いずれは大好きだった祖父母が起こした会社を継がないといけないかなと思い始めました。
継ぐことを決意してからは、就職活動はせずに大学卒業後、滋賀県にある「松下幸之助商学院」というパナソニックのお店の後継者を育成する人材養成学校に1年間通い、その後、川崎の卒業生の先輩のお店で2年間住み込みで働いた後に自店に戻ってきました。

本店は昭和21年の創業で当時は店舗はなく、自転車に電球を積んで売り歩いていたそうです。開店当時は埼玉会館から中山道に向かう道沿いにお店があり、店頭に設置したテレビで放送された力道山の試合を観る人だかりの写真が今も残っています。現在の本店は昭和30年代に曽祖母が土地を購入して店舗を構えて始めたそうです。今の建物は平成元年に建て替えをして今に至ります。

栄和(さかわ)店は、昭和49年の創業で今は弟夫婦がメインで運営しています。本店だけだとお客様が限られてしまうので、新しい地区でお客様を増やしたいという気持ちが祖父にはあったようです。祖父は社交的でなかなかのやり手でした。祖父との思い出を話してくれるお客様も沢山いらっしゃいます。

━ 今後の夢やビジョンはありますか?

会社設立して今年で73期なりますので、100期を目指したいです。そのためには双子の息子のどちらかが会社を継いでくれたらなと思っています。ただ強制はしたくないので息子が「継ぎたい!」と思ってもらえる会社、お店にしていきたいです。実は息子が小学1年生の時に「将来の夢は電気屋さんになることです!」と宣言してくれた動画は、スマホにあるので残しておいています(笑)。

また、浦和に住む皆さんが「この場所に街の電気屋があって良かった!」と思ってもらえるようなお店づくりをしていきたいです。そのためにもニーズに対応できる体制、人材が必要です。あまり売上目標がいくらだから頑張れ!と尻を叩くのではなく、自然とお仕事をいただき、そのお困りごとをしっかり解決することでお客様も当店のスタッフも笑顔になるような仕組みを作っていきたいと思っています。

電気屋の仕事ってお客様からお金をいただいて「ありがとう!」と感謝してもらえる仕事なんですが、こういう仕事ってなかなかないと思うんです。お茶を出してくれたり、差入れもいただいたりすることもありますしね。冷蔵庫などの重い物を運んだり、暑い中、寒い中での作業など大変なことも多いけれど、お困りごとを解決してあげられると嬉しいし、モチベーションになりますよね。それに新しい電気製品を使うことでお客様の生活がより快適・便利になり、喜びの声をもらえることは仕事の楽しさでもあると思います。うちの仕事はやりがいがある仕事だということを知っていただきながら、楽しく仕事をしてもらえるスタッフが増えたらいいな。
スタッフにはお客様が困っていることに気付いてあげる目を持って欲しいということはいつも伝えるようにしています。意外と本来のご依頼以外のことを直してあげると喜ばれるんです。例えば、ドアがバタンと閉まってしまうお家、あるじゃないですか?実はドアクローザーを調整するとゆっくり閉まるようになるので、私たちが気付いてあげて、パッと直してあげるとすごく喜んでいただけます。商品の勉強もしかり、テレビや新聞、SNSにもお客様に伝えたい情報が沢山あるので日々の研鑽は怠らないようにしたいですね。

━ どんなお客様に利用してもらいたいですか?

電気製品は長く利用いただくものなので、その場限りではなくて、長くお付き合いをしたい方に来ていただきたいですね。うちは量販店のように売る人、配達する人、工事する人と分かれていないので同じスタッフがワンストップで対応できることが良さです。いろんな方に家に来られることを嫌がる方もいらっしゃるのでそういった意味でも安心して任せて頂けると思います!

━ 浦和への想いを教えてください

以前は街中でも手をつないで歩いているカップルってあまりいませんでしたが、今は多いなと感じます。それってよそから来ているから、別に見られても構わないってことなのかなと。それほど地域外から引っ越してきている人が増えたってことなのかなと思います。

正直、浦和の街が変化することについては、寂しさはあまりないんですよね。個人店がなくなってしまうことは悲しいですが、そもそも後継者がいないと続けることはできません。でもマンションが沢山建つことは本当に必要なことなのかと疑問に思いますし、市民会館うらわやさいたま市役所の移転後の跡地についてはどうなるのかなと心配しています。

近隣のお店同士の横の繋がりがないのもこのあたりの課題の一つだと思いますので、浦和の街を愛するお店との交流の機会があれば、参加はしてみたいです。

電気屋にこだわらず地元のお店と繋がりを持つことはすごく大事だと思っています。その中で電気に関してはご近所の顔見知りで安心できる当店に相談していただければ、お困りごとを解決できる手段はあると思いますので、お気軽にご相談していただけたらと思っています。

エンドーデンキ(有限会社 遠藤電気商会)仲町本店

遠藤 弘康
〒330-0062 埼玉県さいたま市浦和区仲町2-19-17
048-822-6428(9:30~18:00 ※2023年11月より毎週水曜日と祭日休みに変更しました)
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