浦和の皆さんが好きな街であり続けるためのお店づくりとは
さいたま市 浦和区 /「JR浦和駅」 徒歩4分
大熊 あゆ美
━ 何を専門に活動されていますか?
(姉:真理子さん)
今年の2月2日に姉妹(姉:齋藤真理子さん、妹:愛理さん)で花屋カフェをオープンしました。
カフェとしてはグルテンフリーや植物性のミルクなどを使用して、動物性のバターや小麦粉を使わずプラントベースでカフェやお菓子を作っています。特に浦和ってこういったものを求めている人が多い印象なんですよね。30代以上の女性がメインでご来店いただき、自宅用にお花を飾りたいという方も多いです。それに私が花屋、妹がカフェとそれぞれの専門がありますが、花とカフェって相性が良いんです。お花の「プラント」とプラントベースの「プラント」をかけられたのも面白いし、どうせだったらこだわりを持った形の方がいいよねというのもあって、花屋カフェというだけではなく屋号の後ろに「花屋とプラントベース」という名前もいれています。
お花については、すぐ近くにお花屋さんがありますし、私は20年お花に関わる仕事をしていることもあり、なるべく目新しいような面白いお花を自分で市場に行き、必ず目で見てから仕入れるようにしています。近くのお花屋さんと種類がかぶらない方が、お互いのお店として相乗効果を生めるのではないかなと考えています。また、観葉植物もピンときた綺麗な形のものを仕入れています。
お花もカフェも生活必需品ではないし、今は物価高だから真っ先に削減されがちなのですが、でもそういう自然のものを家に取り入れることって「人間らしい」と思うんですよね。花を愛でることで豊かな気持ちになれると思うし、植物を通して皆さんの生活の中に豊かさとして広がっていったらいいな、それが心の豊かさにもなるんじゃないかなと信じています。植物は生きているものなので、何かしらのパワーがありますし、癒しを与えてくれるのではないかなと思います。
お花の買い付けは、世田谷の市場まで行っています。
日本では、太田と世田谷の市場が2代市場として有名なんですが、自分で買い付けにいくので、距離的に近い世田谷を選んでいます。市場に行くときは、夜中の3時に起きて3時台には市場に着き、1時間~1時間半を使ってじっくり選んで、6時台には浦和に来て店頭に並べるという流れですね。繁忙期だと、市場には週3日行くこともありますが、通常だと週1~2日で、鉢植えのものだと別の市場に行きますので日々調整しながら行くようにしています。お花は生のものなので、新鮮なお花をご提供したいという気持ちはあるのですが、結構裁量が難しくなるべく日持ちするお花を選ぶようにしています。バラでも良いバラだと日持ちしますので、そういったバラを選んだり、ドライにできるお花など、ロスを減らすように心掛けています。
まだオープンして1年も経たないですが、常連さんがついてくれていることがとても嬉しいです。
(妹:愛理さん)
前のオーナーさんからエスプレッソマシンを譲っていただいたので、エスプレッソマシンを使ってコーヒー、紅茶をベースにしたカフェとフードをご提供しています。チャイ、ほうじ茶、抹茶などミルクを温めることも、エスプレッソマシンで作ることができるので本当に助かっています。女性が9割ということもあり、カフェ・フードともに素材にはとてもこだわっていますし、コーヒーやカフェインを控えている方に向けたドリンクもご用意しています。また、ブラックコーヒーは一杯ずつドリップをしているので、少し時間を頂戴しますが、豆の状態から挽いていて新鮮な状態でご提供することを大切にしています。
フードは焼き菓子がメインですがすごく人気なのが抹茶のスコーンです。このスコーンは浦和の豆いちさんのお豆腐を使っていて、甘すぎないのでお子さんや朝食でも食べられると定期的に購入いただく方やスコーンの焼き上がりの時間に合わせていらっしゃる方もいます。できる限り、地域の方とのつながりを軸にやっていきたいという想いもあって、浦和のお店さんとのコラボをさせていただいています。
また、月2回は見沼のけやき農園さんで作っている野菜を販売するマルシェを開いています。すごく好評をいただいていますし、けやき農園さんで採れた野菜をお菓子に使わせていただくこともあって、こちらも多くの方に喜んでいただいています。
━ 活動をはじめたきっかけや経緯はなんですか?
(姉:真理子さん)
20代の頃から、何かしらお店を出したいなとは思ってはいたんですよね。でも実は、お花に関わる前は、中国語の勉強をしていました。ただちょっと違うかもと思って、メーカーのOLをしていたんですが、働くうちに本当にこのままでいいのかなと思い始めたんです。何か好きなことをずっとやっていきたいなと思ったときに、実家はいつもお花を飾る家だったので、よくお花は目にしていたんですよね。なのでお花に関わる仕事っていいかもなと思ったんです。それからは、フラワースクールに行ったり、花屋で働いていくうちに、いつかは自分の花屋を出すんだという目標を持つようになりました。
また、お花とカフェと専門分野が私と妹とであったので、妹と「お花を束ねている間にお茶を飲んでもらうっていいよね」という話を以前からしていました。その話をしてから少し時間は経ってしまったのですが、去年の10月に浦和で素敵な物件が空いたので、ここだと思ってすぐに決めてしまいました。妹の返事を待たずに私はやるんだ決めていたので、物件が決まったらどんどん進めてしまいました笑
なぜ浦和に決めたのかというと、実は以前浦和の病院に通っていて。そのときすごく待ち時間が長かったので、浦和の街をよく歩いていたんです。歩いてみると浦和ってお店が沢山あるし、官公庁系や企業もあり、さらに住んでいる方も多いので、花的な観点からするとすごくいいのではないかと思っていました。ちなみに、浦和以外だと都内の東横線沿いも考えていたのですが、自宅が新座なので、やはり自宅から通いやすいところがいいなとも思っていましたし、いざ浦和に来てみると浦和で本当に良かったなと感じています。
(妹:愛理さん)
以前より姉から話は聞いていたのですが、具体的にオープンするよという話は去年の12月に聞きました。
姉はあれよあれよとオープンの話を進めていましたので、びっくりしました。出身は埼玉ですが、千葉に長く住んでいるので浦和での馴染みは正直なかったというのもありましたしね。
実は今、お店とは別にスターバックスでも働いているんです。通常のスターバックスの店舗ではなく、コーヒーに特化したお店なんですが、以前からコーヒーセミナーや家庭用のエスプレッソマシンのセミナーをやったり、通常の店舗では取り扱っていないコーヒー豆やフードとの組み合わせをお伝えしたりと、コーヒーに関わる仕事をしていたので、姉とのお店でカフェを出すことは私にもできるかもと思って一緒にお店を出すことを決意しました。
また、お菓子は元々は趣味で作っていたんです。そのときにどうしたら素材の味を生かせるのかなと試行錯誤していたので、その経験を生かすことができています。浦和ですと健康志向でグルテンフリーのニーズも高いですし、こういうの作ってほしいという声もいただくので、皆さんと会話をしながら喜んでもらえるお菓子をこれからも作っていきたいなと思っています。そして今後のつながりを大切にしていきたいです。
━ 今後の夢や野望、ビジョンはありますか?
(姉:真理子さん)
まだまだ認知度が低いので、お花を買おうと思ってご来店いただく方よりも、カフェのついでにお花を買われる方の方が多いかなと思います。なので、お花のギフトが結構少ないんです。今後はギフトも増えるように工夫していきたいと考えています。
10月からワークショップをやっていて、ちょうどハロウィンの季節だったので、かぼちゃとドライフラワーを使ったワークショップを行いました。参加いただいた方から「面白かった!」と反応が良かったんですよね。なかなか小さいお店でカフェをやりながらワークショップをやるのって、できることが限られてしまうのですが、体験型・参加型って需要があるので、定期的にやっていけたら面白いのかなと思うんです。
また、自分としてやりたいのは、ゆくゆくはもっともっと好きなお花や観葉植物などを仕入れて、種類を増やして販売することです。今は仕入れる量と売れる量のバランスを調整しながらなので、これも仕入れたいなと思っても我慢することもあって結構葛藤しているんですよね。。
(妹:愛理さん)
来年は今作っている野菜や農家さんで採れた野菜を使ったフードをもう少し増やしたいというのと、野菜を作っている方のお顔が見えたり、素材をちゃんと伝えて安心いただけるようなストーリーも店頭で見せられたらなと考えています。
━ どんな人にきてもらいたいですか?
(姉:真理子さん)
今までお花を飾ってこなかった方に、ぜひ来てもらいたいですね。お花とカフェできっと癒されると思うので、心癒されたい方にも来てもらえるといいなと思います。
(妹:愛理さん)
お店のコンセプトは持っているけど、お客様の笑顔につながることを軸にやっていますので、どなたでも来ていただきたいですね。こんな時代だからこそ、会話やつながりを大事にしていきたいし、そのつながりが浦和の街に広がっていってほしいなと思います。
━ 浦和への想いを教えてください
(姉:真理子さん)
浦和が好きな方が多くて、浦和愛が強くて素敵だなと思います。様々な素敵なお店や街並みがあるので、私たちも一緒に盛り上げていきたいです。それに浦和は色んな人が集まったらすぐに友達になれたり、地域のコミュニティを大事にする街だと思うので、古く住んでいる方も新しく住んでいる方も皆さんが好きでいられる街であり続けるために、私たちもうまく溶け込めるようなお店を築いていけたらいいなと思います。
これまでお花を飾らなかった方が飾るようになってくれたり、お花を愛でる方が増えていくことが今のやりがいです。お花を普通に飾ってくれる人が増えるのは嬉しいので、お気軽にぜひ遊びにいらしてください。
(妹:愛理さん)
浦和はものづくりをしている人が多いので、その掛け合わせができるのが面白いんですよね。よく伺うのが、「元々長く浦和に住まれている方が築かれてきた文化と新しく移住してきた方が築かれている文化とが入り乱れているから、そこが面白いんだよ」と。そういうところも浦和の魅力なのかなと感じていますし、本当に素敵な地域だなと思います。他の地域だったらここまでお客様との会話が見られなかったんじゃないかなとも感じているので、浦和にオープンして良かったです。何も用がなくても、お店をのぞいて「雨だけど大丈夫?」と声を掛けてもらえることもあって人の温かさを感じます。
美味しいカフェとお菓子をご用意しておりますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください。