靴は人生を歩んでいく「相棒」
“ノグチ靴工房” 野口 マサジさん

自分の手でつくって、直すこと、それが暮らしに寄り添うことだと思う。靴作りへの想いをそう語る ノグチ靴工房 野口 マサジさん

さいたま市浦和区 /「JR浦和駅」 徒歩8分

話を聞いたひと
大熊 あゆ美

━ 何を専門に活動されていますか?

「靴をつくる」ことを教えるための教室を開いています。2001年に開校して、来年20周年を迎えます。14年間は茅ヶ崎にいて、その後浦和に移転してきました。
教室に通ってくれている生徒さんは、学生さんから80代の方までいらっしゃいます。長い方は、茅ヶ崎のときから10年以上通ってくださっている方もいます。
学校の方は卒業したら独立する生徒もいます。1年で卒業はできますが、1年の中ですべて習うわけではなく、考える力を養うことを意識しています。

━ 活動をはじめたきっかけや経緯はなんですか?

実は、元々全く別の仕事をしていて、靴に興味があったわけではないんですよね。あるとき、ふと求人誌を見ていたときに、靴をつくる仕事が目に入ったんです。父が大工だったこともあって、なんとなく、子どもの頃から、ものをつくることは好きだったんですよね。なので、自然と職人という言葉に響いて、自分の生き方はこれだとおりてきたですよね。それから靴の世界に関わるようになりました。埼玉で働いていたのですが、あまりにも違う世界に飛び込むので、埼玉から離れようということで、茅ヶ崎にいきました。ただ、自分の生まれた場所で子どもにも学校に通ってもらいたかったという想いで埼玉に戻ってきて、場所を探していました。今いるこの場所より前は、浦和の東口にいました。ただ、なんとなくビルの中のひとつの存在として収まってしまっている感覚に、違和感を覚え、そんなときに出会ったさきっちょの越野さんとのご縁で、今の場所で教室を開くようになりました。
不思議なことに、西口に移転してきてから、地域に根差している感覚があり、地域のつながりが増えたんですよね。東口にいたときよりもしっくりきたんです。

━ 活動のこだわりや想いはなんですか?

どんな靴を作りたいかは、それぞれの想いはあるのですが、大切にしていることは、「普段使いできる優しい靴」かどうかです。飾っていて、美しい靴ではなく、普段使いできる靴が美しいと思っています。いかに長く使える靴かどうか。
つくる目的は自分のためや家族のためなど、様々ですが、自分の手でつくって、直すこと、それが暮らしに寄り添うことだと思っています。自分にとっては、靴は人生の相棒です。

また、靴だけを見て「合っている」靴かどうかを見るのではなく、履いてみて体全体をトータルで見ます。自分にあった靴なら体のシルエットは綺麗に見えるんですよ。

既製品の靴は、履けば履くほど劣化していきますが、ここで手作りした靴って履いたら履いた分だけ、魅力が出てきて、味わい深くなっていくんですよね。

━ 今後の夢や野望、ビジョンはありますか?

拡大していくよりも、ひっそりとやっていきたいですかね。次の方に受け継いでいくイメージ。将来は、地元の宮代町に戻って、街の方と共に靴をつくることができたらいいなと思っています。自分で作れるということは、自分で直せるということです。靴を作ることが一般的になって、物を大切にしていく社会になったら嬉しいです。

━ 参加いただいた方やこれから参加してほしい方へメッセージ

おにぎりをにぎれれば、誰でも靴を作ることができますので、見学にいつでもお越しくださいね。

野口マサジ Masaji Noguchi

1970年埼玉県に生まれる。
大学卒業後公務員になるが、自分一人で全てを作り上げる靴職人に魅せられて退職。
’98年、原宿にある「モゲ・ワークショップ」の門を叩く。手づくり靴を一から学ぶ。
’99年、学校の貸工房制度を利用して注文靴製作を開始。
2001年、神奈川県茅ヶ崎市に工房を構え、本格的に注文靴と手づくり靴の教室を始動。
2006年、手づくり靴を仕事にする専門コース「WORKS」を開校。
2011年、心機一転、「靴の自作工房ヒロ」にて木型を学ぶ。
2015年、14年間活動した茅ケ崎を離れ、さいたま市・浦和へ工房を移転。
茅ケ崎工房は、Works卒業生らが自主運営するスタジオ「Village」として新たにスタートする。

ノグチ靴工房

野口 マサジ
〒330-0064 さいたま市浦和区岸町4-20-15さきっちょ店舗ビル2階
048-822-6771
info@nogutsu.com
https://www.nogutsu.com
facebook nogutsu

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