楽しい憩いの通りで会話を増やしたい“米の専門店 長堀商店”長堀 禮次郎さん

空きスペースを活用して街に灯りをともす、お米屋さんの想いとは

さいたま市 浦和区 /「JR浦和駅」 徒歩10分

話を聞いたひと
大熊 あゆ美

━ 何を専門に活動されていますか?

お米をメインに、その他うどん・そばなどの保存食や油などを販売しています。昭和34年に創業し、私で3代目になりました。
お米は東北、北海道のものが主力です。お客様一人一人の好みや食べる量を伺って、必要な量のお米を提案するようにしています。すぐに食べないのに沢山ほしいという方には、まだ買わない方がいいよと断ってしまいます。美味しく食べてほしいですからね。
ご高齢の方や重たいものを持てない方には、お米の配達もしています。

また、前地つきいちというイベントを隣の車庫で毎月最終週の土曜日10時~開催しています。焼き芋やトウモロコシ、パン、お菓子、手芸品など、出店者さんを募集して、様々なものを販売しています。
店頭や店内でもパンや湯飲み、岩手の醤油を売ったりと、お米と関係のないものも販売します。パンは毎週金曜、土曜日の17時~20時頃で販売しているんですが、帰りのお客様が多くて、結構需要があるんです。そういう方もお店を知っていただくきっかけになればなと思っています。
湯飲みは、販売できず本来破棄してしまうアウトレット品で、もったいないし、助けてあげたくて私のお店で販売しています。岩手の醤油は場所貸しをしているという感じですね。お店の彩りにもなるので、うちとしても助かりますよ。困ったことがあれば、場所を提供して助けてあげたいんですよね。これまでと層が違ったお客様が来てくれるのですごく新鮮です。来てくださった方と交流もできますしね。

また、ものくり商事さんと一緒におこめのとなりプロジェクトという企画を立ち上げて、店内の空きスペースでお店を開業したい人を募集するコンペも行いました。今は、グランプリになったmisu’s Kitchenさんに入ってもらって、食事やお弁当、お惣菜のお店として頑張ってくれています。


━ 活動をはじめたきっかけや経緯はなんですか?

昔、お米は国で管理されていて、数社で配給所をつくっていました。お米の管理が民間に移行してから、お米屋として商売を始めるようになりました。なので昔はもっとお米屋さんがあったんですよね。1地区に1つくらい。今ではだいぶ少なくなりました。プロパンガスや灯油、炭などを販売する燃料屋さんも多かったんですよ。うちも以前は地下タンクを持って石油も販売していましたしね。今はエアコンが多いので、ニーズもなくなっちゃって数年前に石油販売をやめてしまいました。

以前は、法人のお客様にもお米を販売していたのですが、今は一般のお客様がメインです。また、年齢とともに活動量が減ったり、お米の需要も減ってくるんですよね。なので、段々と仕事に余裕が出てくるんです。それで、お店の空きスペースや隣の車庫をいかして何かできないかと、お米以外の面白いことを始めてみることにしました。知り合いが脱サラして農業をやるということだったので、車庫で野菜を販売したらどうかと話をさせていただいたのが、最初でした。場所を貸すのはあくまで無償ですよ。

それに前地通り商店会には200店舗くらいあったんですが、今は本当に店舗数が少なくなって寂しい商店街になってしまったので、少しでも街が活性したらいいなと。今から新しい店舗を作るというのはもう難しいですからね。今ある状態からどう街作りをしていくかってことを考えています。
お店にふと灯りがついていれば、皆さん安心するんじゃないかな。私は、儲かる儲からないとかではなくて、そこに会話が生まれるのが嬉しいんですよね。私にとっては、とても充実した時間です。
場所貸しは、月1回のイベントに出店している方が次のイベントまで商品をそのまま置いていってしまって、その間もったいないので、その間も棚を貸してあげて売ったらどうかと提案したことから始まっています。意外と遠くからお客様が来てくれることもあるんですよね。

地元でこういうお店があるんだと知ってもらったり、もっとこういうことをやってくださいと言ってもらえることもあって嬉しいです。街角にこういうところがあれば、少しでも喜んでもらえるのかなって。バンドネオンを演奏する音楽イベントもやったことがありますね。街に音楽が流れていたらいいですよね。さらに寄席も考えています。
小さなイベントを継続的にできればいいんじゃないかなって思っていますし、うちは場所があるからみんなに利用してもらいたいんです。場所は提供するから自分のお店として利用してほしい。特に素人だけどチャレンジしてみたいという方に利用してほしいです。しばらくは無償でいいですからね。

こういう細い道こそ、住民の憩いの通りにしたいんですよ。大きい通りと違って、安全だし左右のお店にすぐに立ち寄れることが魅力ですよね。昔はご近所さんとの付き合いが深かったんですが、今はそういう付き合いに抵抗がある方も多くて残念ですよね。万が一のときに、助けられないですよ。私は何かしてあげたいし、オープンにしているんですが、なかなかこの仲良くしたい気持ちが伝わらないんです。地元に愛されたいんですけどね。自分がこんなに熱をいれて、お客様のためにってやってきたけど、お店に来なくなってしまうとショックだし、自分の接し方が悪かったのかな・・って考えるんです。お米屋さんというのは、なんだか感情が入ってしまうんですよね。



━ 今後の夢や野望、ビジョンはありますか?

商店街の活性ですよね。今やっているイベントをもっと充実させたいなと思っています。
段々とイベントはマンネリ化してくるので、商品を売ってみたい、置いてみたいという方をどんどん探して、店舗数を増やしたり、売る場所を工夫したり、そんなことをみんなで考えていきたいです。

次の代については、私には子どもがいますが、とにかく商売を楽しくやっている姿を見せて、自らやってみたいと言うまではやらなくていいと思っています。

━ どんな人にきてもらいたいですか?

どんな方でもきていただきたいです。
場所を貸す方や出店したいという方は、熱意のある方に来ていただきたいですね。

━ 浦和への想いを教えてください

浦和の楽しい場所にしていきたいですね。細い道こそ住民に楽しんでもらいたい、そんな想いで続けていきます。

米の専門店 長堀商店

長堀 禮次郎
〒330-0053 埼玉県さいたま市浦和区前地3-1-11
048-882-4734(9:00~19:00 日曜・祝日定休)
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