震災を思い出し・・・ほっと安らぐお湯を浦和に残したい
“鹿島湯” 坂下 三浩さん

人とのつながりを保てる銭湯。
薪と井戸水にこだわり続ける想いを浦和に

さいたま市 南区 /「JR武蔵浦和駅」 徒歩15分

話を聞いたひと
大熊 あゆ美

━ 何を専門に活動されていますか?

鹿島湯の創業は、昭和31年12月1日。創業してもう65年になります。
鹿島湯として、とにかく先代の想いをちゃんと未来につなげていきたいと思い、経営しています。

自分が何をしないといけないかを紐解いていくと、「井戸水(地下水)を薪で沸かすというやり方」を残すこと。
もう1つ大事なのは、僕の代で終わらせてはいけないので、収益を残さないといけない。
ボランティア活動ではないから、営利を追求しないといけないけど、そこには、楽しさも大事。

お客様からすれば、お金を払うのでその見返りを求められるけど、「いい風呂だったよ」「今日もありがとう」と言っていただければ安心するし、本望に感じます。

━ 活動をはじめたきっかけや経緯はなんですか?

代々鹿島湯をやってきて、父がなくなり、今は自分の代で三代目となりました。
お父さんが亡くなったとき、家族会議で一度はやめようか・・・となったのですが、
それでも、鹿島湯を残そうと思ったのは、東日本大震災のことを思い出したからなんです。

2011年6月にボランティア団体「絆ジャパン」を立上げて、東北でのボランティア活動をさせていただきました。

元々、阪神淡路大震災から、災害現場に赴き、ボランティア活動をしてきました。
そのときに、みんなで助け合うことや、人とのつながりがすごく大事だなと思って、その気持ちが今に繋がっています。

東北で、自衛隊の方が用意してくれたお湯に、被災された方が入られて「癒された~落ち着くね~」「久々にゆっくりできたよ」と涙を流しながら言う方もいました。お湯ってそんなに大事なんだと改めて感じました。
だから、お湯が持つ力を、浦和にも残し続けていきたいと思ったんです。

実は去年、クラウドファンディングで多くの方に助けてもらいました。
クラウドファンディングの「銭湯」というカテゴリでは最高金額だったみたいです。本当に有難いですよね・・・
それに改めて、人とつながりを大事にしていてよかったと強く感じました。
銭湯って、そういう人とのつながりが保てる場所でないといけないとも。

銭湯は、全国に38軒ありますが、そのうち7軒が、浦和にあるんです。
元々400軒もあったので、すごく減ってしまいました。それに、薪のみでやっているのは、浦和では鹿島湯だけになってしまいました。
薪にこだわっているのは、電気、ガスがなくても、お湯を沸かすことができるから。
震災で疲れた心を癒せるのはお湯なんだ!と感じることができました。

━ 今後の夢や野望、ビジョンはありますか?

今きてくださるお客様や、銭湯が好きな人は、鹿島湯を「古き良き」でまとめてくれるけど、それだけに甘えてはいけないなと感じます。

銭湯というのは、春と秋は利用者が少なく、暑すぎたり寒すぎたり天候にも大きく左右されるのが現状なので、売上の変動を大波からさざなみに変えるには、常に癒しを提供できる空間を目指していかないといけない。
古いだけではいけなくて、こざっぱりきれいな空間にすること、流行りのサウナや水風呂、サニタリー用品が充実したドライルーム、風呂あがりのリラックススペースなども必要だなと・・・

今後は、もっとお客様が求めていくことに対して応えていかないといけないと思っています。
それに、次の代では同じ想いでやってくれる人に引継ぎたいけど、その人が鹿島湯を残したいと思ってもらえるかを考えています。

サウナがある、ぼーっとして身体をしずめられる、イートインがあるなど、時代を捉えて、合わせていくことも大事ですよね。
スーパー銭湯まではいかないけど、それがミニマムになった銭湯が街にある感じ。多くの方に、そういえばあそこにあったなと、思い出して通ってもらわないと。

今は、新しい形に変わる過渡期なんですよね。

━ どんな人に来店してもらいたいですか?

1日の疲れ、1週間の疲れをとりたいな、気持ちを癒したいと思った人、どなたでも足を運んでほしいです。
それに、人に会いたいなと思ったときにでも、集まってほしいです。

僕は浦和が好きなので、できれば浦和が好きな人にきてほしいな~笑

鹿島湯(かしまゆ)

坂下 三浩
〒330-0021 埼玉県さいたま市南区別所3-3-10
048-861-7007
鹿島湯 WEBサイト
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