まちづくりの根底を支える“らしく株式会社”
堀 哲郎さん

故郷への想いから、「まちづくり」の根底を支えていく存在へ。
お笑い芸人を目指していた幼き頃から、これまでの人生と夢を語ってくれた堀さん

さいたま市浦和区 /「JR浦和駅」 徒歩14分

話を聞いたひと
大熊 あゆ美

━ 何を専門に活動されていますか?

事業内容は、ひとことで言うと「まちづくりの事業化支援」でして、専門性は「まちづくり案件に関する事業創りとファイナンスの設計」です。
まちを元気にしたいと本気で思っている人がいて、最初は任意団体やボランティア、又は個人のみでの活動でも良いかもしれません。ただ、そういった草の根の活動の中には、一定額を資金調達し、本格的に事業化されたほうが外部により詳しい活動やビジョンが伝わり、既に地域にいるビジネスパートナーとも提携して事業展開できるものが一定数あります。また、事業化したまちづくり案件に弊社自らが実践者になることもあります。

まちづくりの事業は、営利・非営利ともにあって良いと思うのですが、本格的に事業化する際に相談できたり専門性をもって支援してくれる人材が圧倒的に不足しています。そうしたニーズを受けて、弊社ではまちづくり案件を事業化する際のファイナンス設計をメインに事業展開しています。

また、空き店舗や古民家などのいわゆる「遊休不動産」の利活用支援も行っていますが、やはり「場」があることの重要性を感じています。その理由は、場が全くない状況では考えにくかったまちづくりの構想やビジョン・ビジネスモデルが、魅力的な場ができると場に想いが宿り、着想が膨らみ、具体案となりアクションできる土壌ができます。この流れを更に加速させると、そのまちづくり案件は事業化できる可能性が高くなります。なお、非常にわかりにくい(笑)私の事業を図にすると・・・このまちづくり事業マップを見てください。

これは、私自身が感じたことを基に独断で作った日本全体のまちづくり事業の一覧です。正直、これが全て合っているとは思いませんし認識不足もあるため、数年毎にアップデートが必要かと思います。

ただ、この事業マップは軸の取り方が大切で、まず縦軸が「営利」か「非営利」か、横軸が脳みそのどこを使っているか、「論理的」又は「感覚的」か。私の活動は赤い部分でして「営利」で「論理的」なエリアを専門にしています。「まちづくり」はとても抽象的な言葉なので、各人がそれぞれ考えるまちづくりは意味合いが全く異なるということがマップからも分かります。弊社を立ち上げる際、この赤い部分は専門性が必要で、かつ、現時点でまちづくりにおいて一番不足しているポジションだと感じました。弊社の専門性は、具体的にはまちづくりの現場において「本格的に事業化する→持続できる事業モデルを創る→投資回収計画を策定する→お金を調達する」という流れをできるだけ円滑に進めるお手伝いをすることになります。税理士さんや会計士さんなど専門性を持った方であればベンチャー企業や中小企業向けの創業支援や資金調達のサービスは従来からあるのですが、あくまで「専門知識提供型のサービス」になり易く、地域を元気にするための専門的な事業化サービスというものはまだないと思います。私自身、元々税理士をやっていたので、企業向けの事業再生や事業承継のコンサルティングサービスなどにもヒントを得て、何とか弊社のサービスラインを構築できた印象があります。

━ まちに活気が出てくる流れって何かポイントはあるのですか?

個人的に、まちが元気になっていく流れには法則性があると思っています。外部のパートナーからもヒントを頂き、これを「焚き火理論」という考え方で表現しています。

①まず、火種をみつける(まちへの想いや情熱があって動ける人の発掘)
②意識的に摩擦をおこす(まちに情熱を持つ人どうしの意見交換、対話、議論の機会など)
③煙が生じた部分に小枝を入れ小さな火になる(小さく形にして成功体験や改善を重ねる)
④薪を入れて火を大きくする(コアメンバーを固めて本格的に事業化し、資金を入れる)
⑤他の場所にも点火させる(違うエリアにもこの流れが派生していく)

どんな場所でもこれを繰り返していくのが重要で、特に④の部分のできた小さな火を大きくする部分が弊社の役割・ポジションだと思っています。たとえ火種が消えてしまっても、また火種をみつける所から始めればいい。時には雨も降るし台風もある(心無い誹謗中傷や誤解、営業妨害など)
そして、最初の火種の見つけ方は・・・やはり「変人」であることが結構大事です(笑)。
常識に捉われず、反対意見が出ても走れる強さがあり、他人の目をあまり気にしない。つまるところ変人にしかないアンテナが大切かと。常識とバランスがある変人という、少し矛盾した要素を備えている人が火種になり易いと思います。

━ 最近の具体的にどのような取り組みをされているのですか?

最近は、まちづくり拠点やコミュニティスペースの企画、運営にも携わっています。川口市の経営者4名と私の5名で、まちづくり会社「NCS株式会社」を創業し、今年1月に西川口駅西口に元空き店舗を利活用したスペース「YORIAI西川口」を設置しました。
「外国人を含めた多様な人が寄り合う」をコンセプトに、川口その他のエリアのユニークな事業者やまちづくりのプレーヤー、不動産オーナー、子どもや外国人を含めた住民など、幅広い方々に気軽に寄っていただけるようなスペースにしたいと思っています。
また、最近はセミナーやワークショップも開催しています。例えば、単純に決算書の読み方の他、まち全体のお金の流れを把握してどのようなアクションを取るかを構想するワークや、遊休不動産の利活用とファイナンスの勘所や、社会起業家向けの創業セミナーなど、今後は少しずつ幅を広げていこうと思っています。
多くの方に参加いただいてつながりが増えてきているので、まちづくりに興味のある方にはぜひ参加してもらいたいですね。

━ 活動をはじめたきっかけや経緯はなんですか?

私の生まれ故郷である長野県駒ヶ根市の衰退がきっかけですね。弊社のCM動画が、まさにその想いを言語化したものになります。
らしく株式会社のCM動画はこちら

駒ヶ根のまち、自分が10、20代のときは、とても元気でした。当時、ミニ四駆が流行っていたのですけど、中心市街地を歩行者天国にしてレース大会を開催したり、お店も多数出店して盛り上がりました。中学生のとき私はお笑いが好きで「インテリなお笑い芸人として天下を取りたい!」と思っていたので、そのイメージ戦略の一環として19歳から税理士試験の受験勉強を開始しました。しかし20代前半で自分には芸人は向いていないと痛感し、やむなく税理士のキャリアをスタートさせました。ただ、普通に税理士をやっていてもつまらないので、税理士だけど、日本で自分にしか出来ない事をやろうと思いました。そこで、ふと思ったのが故郷。駒ヶ根のまちは高齢化による後継者難、自治体の財政悪化、魅力を感じないイベントの定期開催などですっかり元気がなくなっていまい、寂しいなと感じました。なぜまちはこのように大きく変化するのか、色々考えるようになりました。そして、社会に大きなインパクトを与える仕事ができないかと思いました。
まずは20代で自ら税理士事務所を開業し、地域産業の仕組みを学び、一定の実績を積みあげていく中で自身がやりたいまちづくりのビジネスを模索していました。
どうすれば、税理士の仕事で得た知見を活かしてまちづくりの現場にある大きな課題を改善していけるか思考を巡らし、35歳で税理士業を廃業し、らしく株式会社を創業しました。

━ 今後の夢や野望、ビジョンはありますか?

現在はまた税理士の再登録準備をしており、これが無事完了できた後はらしく社のまちづくり事業化支援と税理士の事業を融合させたビジネスを展開していきたいと思っています。個人的にリサーチしたところ、まだこのようなビジネスを日本で本格的に実施している人はいないように感じるので、またゼロベースから事業を創っていく事が楽しみです。また、20-40代の若手の税理士さんや会計士さんが持っている素晴らしいポテンシャルをまちづくりの現場で発揮できるような土壌を構築していきたいと思っています。

━ 今後の夢や野望、ビジョンはありますか?

━ YORIAI西川口のセミナーやイベントにはどんな人に参加してもらいたいですか?

そうですね、事業パートナーを求めている方、起業されて間もない方、将来起業を検討されている方、単純にまちづくりに興味がある方などにきてもらいたいです。

━ 「トビラ」に期待することはなんですか?

双方向のコミュニケーションが生まれそうですよね。色んなプロジェクトに参加しやすいような雰囲気をだせるようにしてもらえるとよりつながりが増えるかなと思います。「トビラびと」が色んなコラボをして、価値を生み出していくことを期待しています。

━ おすすめのスペースはありますか?

吉川のカフェミカンさんがリニューアルします!おすすめです。

MIDORINOというシェアキッチンを行っているスペースは、とても興味があります。

そして、堀が参画している「YORIAI西川口」も面白い場所なのでぜひご活用ください!

━ 参加いただいた方やこれから参加してほしい方へメッセージ

読んでいただいて何かピンときた方は、気楽にイベントやセミナーなどに参加いただくか、またはらしく社のWEBサイト(http://ra-shi-ku.co.jp/)へお問合せなど頂けると幸いです!

堀 哲郎

らしく株式会社 代表取締役、税理士有資格者
NCS株式会社 監査役
1981年 長野県駒ケ根市生まれ、さいたま市在住。
2005年 お笑い芸人で売れたいがために税理士資格を取得するが自身の才能のなさに絶望し(笑)、大手税理士法人に勤務
2010年 29歳で税理士事務所を開業。相続対策、事業承継、創業支援に係る税務サービスの実績多数
2016年 故郷である駒ケ根のまちが衰退していくのを痛感し、運営していた税理士事務所を廃業し、まちづくり案件の事業化支援を行う「らしく株式会社」を創業
2016年~現在まで 創業以来、埼玉や長野など各エリアのまちづくり案件の事業化に関与
具体的には、遊休不動産活用におけるファイナンスと事業設計、商店街
支援、地域密着の創業支援、地域経済のデザイン化などが強み

らしく株式会社

〒330-0016 さいたま市南区大谷場 1-5-3
048-628-1173
hori@ra-shi-ku.co.jp
http://ra-shi-ku.co.jp/
facebook らしく株式会社

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