お花を通してお客様と真剣に向き合いたい
“gracegroan” 野口 貴行さん

人のつながりで助けられている。花屋に行き着くまでのストーリーをユーモアたっぷりに語ってくれた野口さん

さいたま市浦和区 /「JR浦和駅」 徒歩15分

話を聞いたひと
小林 優佳

自分の美意識とそしてお客様と、真剣に向き合ってきたからこそ生まれるドラマが野口さんからたくさん見えてきました。

━ 活動をはじめたきっかけや経緯はなんですか?

ぼくは30才で花の業界に入ったので、それまではダメな人の経歴なんです。笑
花といえば日比谷花壇という男の単純なイメージで、ちょうど男性が抜けたから初心者でも入れてくれて、ただ30なので、最速で独立したいと話して入りました。たまたまそこの店長さんがいい人で「協力する」と言ってくれたんです。そして1年間だけ都内のホテルでブライダル担当をしていました。そこからキャリアがはじまります。

プロフィールにはのせてないんですけど、日比谷花壇を退職したあとに3ヶ月後には茨城県のローカル鉄道会社の駅の中のキヨスクみたいなところで独立しているんです。ここ(現在の店舗)みたいなところを借りると初期投資がかかるので、そんなお金なかったから、直談判してOKもらって。そして2年くらいやってたんですけど、鉄道会社の都合で出なくちゃいけなくなって。結局そこまで独学でやってきたから、ちゃんと自分が綺麗と思える花屋さんでブラッシュアップしたいなと思って、そのあとに芦屋の花屋に就職しました。

それで現在は、IT企業の代表をしている友人がオーナーで、この店をやらせてもらっています。東京の住所じゃないと買ってくれない場合があるので、本当は東京でやりたいんです。でも家賃も高くて、それでいろいろ探してここになりました。

━ 仕入れられるお花が限られていた、自分の感性に響くものがなかったなどから、また他でブラッシュアップしていこうと思われたのですか?

っていうよりは、自分がやってきたことの答え合わせです。ぼくは自分で作っている花は綺麗だと思っている、この思っていることが果たして通用するのかなぁと。それとそこでまた就職してもまた独立するというのがあったので、新たに学ぶことになったとしても商品として売れる、クセのあるアーティスティックなお花ではなくて、まんべんなく世の中の女性が喜んでくれるデザインのところで勉強ができたほうがいいなぁと思ってそこに入りました。まあ、結局自分のためなんですけど。
女の人が喜んでくれないんだったらお花屋さんやる必要ないと思っていて、女の子がキャーキャー言わないんだったら花屋やめたほうがいいと思っていて。笑

━ 野口さんならキャーキャー言われると思います。お花を女性に贈りたい男性が増えたらうれしいですね。

もちろんうれしいです。ただ、浦和は女性にお花を贈る男性が少ないですね。場所柄もあり、お花を贈るキザな人が少ないのかな・・・
男が男にお花注文するのって、かわいい女性に注文するより恥ずかしくないじゃないですか、だからもっと男性に来て欲しいですね。

━ こちらはどんなお店ですか?

ご注文を受けてから仕入れをするギフト中心の花屋です。あとはワークショップや企業の受付の生け込みなどもやっています。花瓶にいけるディスプレイです。普段はウェディングブーケはやっているんですけど、ウェディングコーディネーターさんからの紹介で先日はじめてウェディングの装花の仕事をして、今まで呼んだ花屋の中で一番ヤバかった!!と言っていただきました。

━ こだわりや想いを聞かせて下さい

都内の花屋でホテルのブライダルを担当していた時は、お客様との接点がなくやりがいを感じられなかったんです。顔の見えない人のために一生懸命お花作って、感謝されたいわけではないけど、感想も聞けないし、顔が見たいんですよ。喜んでくれているかもわからないし。だったらこちらのほうがいいと思って小売に来たんですけど、今回のブライダルでは最後に会いたいって言ってもらって、すごく楽しかった。
やっぱり喜んでもらえないとやっていけないですよね。
ギフトの注文で贈られた方からお礼を言われたり、喜んでもらえましたって報告を受けたり、がうれしいですよね。

━ 今後のビジョンや夢みたいなものはありますか?

まずはとにかく続けていきたいですね。

━ では、その続けていくために心がけていることはありますか?

柔軟な対応ができないんです。根底は職人なんで自分が好きと思わないところをあてがわれても、納得がいかなかったり、顔には出さなくてもできないなぁというところがあるんです。綺麗なものを作っていれば売れるという漠然とした理由の中で日々過ごしているから、「売れない」となった時に、ぼくの作っている花がこの地域に合っていないんじゃないのかもしれないとか、ぼくの作っている花のクオリティの問題なんだなってことしか思わないんですよ。他の人に言わせるとお花に値段をつけた方がいいとか、作り置きみたいにした方がいいんじゃないとか言われるんですけど、他のお店がやってるからそうだとは思うんですよ、けどうちは違うからやりたくないっていうことしかなくて、必死に綺麗と思うものだけを作っているから、ほんとにダメだなと思いますね。笑
かと言って、自分の作っている色彩に入れて欲しいという色があれば入れたり、意味わからないところで折れたりはするんですよね。笑
どうやったら続くんだろう・・・結局、ぼくが努力していないところで別の人から話が来たりとか、ほんと他人に助けられてるというのがあります。今回のブライダルのことも「やりたいなぁ」と思って言っていたら、声かけてもらって。人のつながりで助けられているなぁと思っています。

━ どんな方に利用して頂きたいですか?

お花にこだわりがあって来る人にはそのこだわりに即したお花を提供したいし、そうじゃない人には期待を裏切らないように作ってあげたい。そのお花が良いかどうか判断できない人が人にプレゼントしたときに反応が良いか悪いかで判断して欲しいし、誰に来て欲しいってこともないですけど、誰にでも来て欲しいです。
小売はぼくのベースです。お客様の顔が見えないと意味がないので、こちらが続けられるようにブライダルなどの大きな仕事もしたいです。
やっぱり最初の店って愛着が湧きます。

━ やりがいやうれしかったことはありますか?

やりがいは常にあるんですけど、意外と嬉しかったことより悲しかったことのほうが覚えています。嬉しいシーンばかりでお花を作るわけではないから、9割嬉しいことでお花を使う人がいるんですけど、亡くなった方に贈る花もあるわけです。泣きながら作った記憶もあります。
そんなのとかもあったりして、こういうことでもお花を作らなくちゃいけない仕事なんだなと思ったりしました。

━ トビラに期待することはありますか?

ワークショップの生徒さんが増えたらいいなぁと思います。あとはギャラリー(お店の壁面を展示スペースとして1日単位でレンタル可能です)として使ってくれる人が増えたらうれしいです。

━ これからのお客様にメッセージありますか?

もっと使ってくれないと無くなっちゃうよ!!笑

野口 貴行 Takayuki Noguchi

浦和生まれ。筑波大学卒業後、国内大手化粧品会社に就職し色彩やメイク、ディスプレイを学ぶ。
その後、花の魅力にひかれ日比谷花壇でブライダル業務に就く。
更に花を学ぶため兵庫県芦屋の生花店や大手仲卸の運営する南青山の大型店舗でハイブランドの装花作成を担当。
また、スーパーマーケット横の花屋チェーン店でエリアマネージャーなども経験し、地元埼玉の企業バックアップによりgracegroanをオープン。
同時にmain artisanに就任。
運営コンサルタントとして店舗管理をし、花で人の心が結ばれる事を目的とし活動している。

fresh flowers kitchen gracegroan

〒330-0063 埼玉県さいたま市浦和区高砂4-3-12 1F
JR浦和駅 徒歩15分
月〜金 11:00-19:00/土・祝 11:00-18:00(日曜定休)
048-762-9507
https://gracegroan.storeinfo.jp/

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